石井・中田研究室

スタッフ

  • 教授 石井昭彦
  • 教授 中田憲男

研究内容

 広い意味で炭素と水素以外の典型元素のことをヘテロ原子と言います。炭素と水素からなる炭化水素にヘテロ原子が官能基として加わることで,アルコールやアミンのような様々な性質をもつ有機化合物が派生しますが,さらにそこに遷移金属元素が加わると,また違った面白い性質が現れます。私たちは,ヘテロ原子のみならず,それと遷移金属元素を組み合わせることで,従来にない性質をもつ物質の合成と,そのような性質をもたらすヘテロ原子と遷移金属元素の相乗効果を解明する研究を行っています。炭素骨格-ヘテロ原子-遷移金属元素の組合せは無限にあり,このような研究は無限の可能性を秘めていると言えます。

[最近の研究から]
① ジベンゾバレレンと呼ばれる炭素骨格とヘテロ原子を含む化合物が強い蛍光を発することを見出しました。Eの部分が周期表16族元素のO,S,Se,Teの化合物を合成し,光物性をはじめとする諸物性を実験と理論計算の両面から系統的に比較することで,16族元素の特徴を明らかにしました。また,この系では,置換基R1とR2の電子的性質をチューニングすることで,蛍光を青色から赤色〜近赤外に変化させることができます。さらにEの部分が14族のCとSi,15族のPの化合物も合成し,ヘテロ原子の種類により物性がどのように変化するか研究しています。
これらのルミネッセンス化合物は機能性電子材料や化学センサーとしての様々な応用も期待されます。

② 炭素の二価化学種(カルベン)の高周期類縁体であるテトリレン(Si, Ge, Sn, Pb)は、オクテット則を満たさない中性二配位の化学種であり, 非占有軌道と孤立電子対を有することから極めて高い反応性をもっています。私たちは,窒素とリンで構成されたイミノホスホナミド配位子を導入したテトリレンの合成と性質に関する研究を行っています。これらのテトリレンは強力な電子供与性を有しており,その性質に起因した特異な反応性の発現やユニークな構造をもつ金属錯体の配位子として利用できることを見出しました。例えば,ケイ素二価化学種(シリレン)とロジウム錯体との反応では,珍しいY字型構造を有する14電子錯体やケイ素‐ロジウム間に二重結合性を示すカチオン性錯体の生成を明らかにしました。

 

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