基礎化学科について

基礎化学科の教育/研究活動方針(抜粋)

 基礎化学科では、「物質とは何か」について、すなわちさまざまな物質の反応や性質を研究し、構成原子や分子の構造を調べ、新たな物質を合成しよう、という学問を行っています。2億種類という膨大な数の物質が知られ用いられている現代社会においては、物質の性質や構造および機能を研究することは非常に重要です。現代の化学は、試験管とビーカーだけで実験するものではありません。最先端の技術を駆使した機器や、精密な分析手法、コンピュータによるデータの処理等を活用して、新しい化合物を探索し、新しい機能を持つ物質を開発しようとするのが最近の化学研究の方向です。

 私たちの学科は、全国で唯一の基礎化学科です。基礎化学科と言っても、化学の基礎だけを教育するのではありません。物理化学、無機・分析化学、有機化学など化学研究の土台となる分野についてウェートを置いて教育し、さらにそれを礎にして応用の分野まで幅広く教育しています。学科構成としては、物質の創製を主に研究する「合成化学講座」と、物質の性質や機能、構造の解析に重点を置く「解析化学講座」の2大講座から成り、各講座が物理化学、無機・分析化学、有機化学およびこれらの境界領域の基礎から応用までの幅広い分野の研究を行っています。

 基礎化学科では、1)現代の化学を総合的に理解するための基礎知識の修得、2)化学の研究者、教育者、技術者またはその周辺の化学を専攻する者に必要な基礎技術の修得、3)自然科学における「化学」の役割を理解し、社会における重要性を認識した、広い視野をもつ社会人の育成、を目標に学生の教育を行っています。上記の目標を効果的に達成するため、早期に化学の基礎知識を身につけ、現代化学の全体像を理解して「化学」に自発的に興味がもてるようなカリキュラムを組んでいます。

 基礎化学科に入学すると、1年次には、共通教育科目、外国語科目と並行して、化学を専門として学習・理解するために必要な「数学」と「物理学」、化学の系統的専門科目の入門編として「物理化学」、「無機・分析化学」、「有機化学」を学びます。また、「化学基礎実験I」で化学実験の基本技術を修得します。2年次と3年次には、「物理化学」、「無機・分析化学」、「有機化学」の3つの大きな系列を系統的に学びます。2年次の「化学基礎実験II」、3年次の「合成・解析化学実験」の授業を通して、化学実験の面白さや不思議さを体験するとともに、卒業研究を行うための基礎技術の修得を行います。4年次に取り組む「卒業研究」では、一つの研究課題に取り組み、結果を出してそれを考察していく方法を修得します。

 これら授業をよりよく理解するためには、化学が本当に好きであることが大切であり、基礎化学科としては化学と実験が好きな学生が多く入学してくれることを望んでいます。将来、幅広い視野を持った研究者、教育者および技術者などになるためには、他の学問分野(例えば数学、物理学や生物学など)にも興味を持つことと英語など外国語を使いこなせることが重要です。埼玉大学理学部基礎化学科で化学の知識や技術を学び、物質の際限のない探究の世界にむけてはばたこうではありませんか。

基礎化学科の目的と学科構成

 物質とは何か?――化学は、さまざまな物質の反応や性質を研究し、構成原子や分子の構造を調べ、新たな物質を合成しようとする学問です。2億種類を超えるという膨大な数の物質が知られ用いられている現代社会においては、物質の性質や構造および機能を研究することは非常に重要です。
 現代の化学は、試験管とビーカーだけで実験するものではありません。最進の技術を駆使した機器や、精密な分析手法、コンピューターによるデータの処理などを活用して、新しい化合物を探索し、新しい機能をもつ物質を開発しようとするのが最近の方向です。

●学科の構成
 基礎化学科は、昭和24年に設置された「化学科」に新しく教員が加わり、平成7年度から発足しました。「合成化学講座」と「解析化学講座」の2講座から成り、各講座が物理化学、無機・分析化学、有機化学、およびこれらの境界分野の研究をそれぞれ合成(物質をつくる)および解析(物質をしらべる)の見地から研究してきました。平成18年度からは大学院改組に伴い、教員は大学院理工学研究科研究部・物質科学部門の「物質基礎領域(元素化学研究分野)」と「物質機能領域(機能分子解析)」に所属していますが、引き続き基礎化学科の教育を担当しています。
 学科の教育では講座や領域による区別はなく、講義や実験は1年次から「物理化学」「無機・分析化学」「有機化学」の3つの系列に大別して、系統的に効果的に学べるように工夫しています。また、大学内にある最新の測定・分析機器を扱う「科学分析支援センター」に所属する化学系の教員も講義や研究で協力しています。

●基礎化学科の教育内容
 基礎化学科の教育内容を、以下の図にまとめます。

カリキュラム

●教育の理念と目標
 次のような目標のもとに教育をおこなっています。

  1. 現代の化学を総合的に理解するための基礎的知識を修得させる。
  2. 化学の研究者、教育者、技術者またはその周辺の科学を専攻する者としての基礎技術の修得。
  3. 自然科学における「化学」の役割を理解し、社会における重要性を認識した、広い視野をもつ社会人の育成。

●カリキュラム編成の特徴
 この目的を効果的に達成するため、以下のような点に留意して体系化されたカリキュラムを編成しています。

  1. 早期に化学の基礎知識を身につけ、同時に現代化学の全体像を理解して「化学」に自発的に興味がもてるように科目を組む。映像教材なども活用する。
  2. 「物理化学」「無機化学・分析化学」「有機化学」という分野ごとに、一貫した系統的な教育ができるように体系を組む。
  3. 演習や実験の科目を多くして、実際に合成操作、反応の追跡、物性測定、各種の機器を用いた解析手法などの技術を十分に修得させる。
  4. 個々の学生の興味に応じて、先端的な研究領域や最新のトピックスに触れることができるような講義を設け、学外からの講師による特別講義も行う。
  5. 教員の研究室に所属して一つの研究課題に取り組む「卒業研究」や「卒業演習」によって研究の最前線を体得させる。
  6. 帰国子女や外国人留学生を積極的に受け入れる。
  7. 社会人、特に高校の先生や企業からの内地留学を積極的に受け入れる。

 基礎化学科におけるカリキュラムの体系図を以下に示します。

●専門科目にみる基礎化学科学生の4年間
 現代の化学には多くの専門分野があります。学部の4年間でこれらの全てを教育することは不可能なので、教育課程を精選しています。専門科目を通して学部学生の4年間をみてみましょう。

  • 1年次は基礎科目
     人文社会系基盤科目、英語、スポーツ、情報基礎などの科目と並行して、化学の基礎教育がはじまります。高校までの知識と異なる新しいイメージで化学をとらえ演習を通して定着させる「基礎化学物理」および「化学演習I」、化学を学ぶために必要な自然科学の基礎として「線形代数基礎」「微分積分学」「力学基礎」「電磁気学基礎」、化学の系統的専門科目の入門編として学ぶ「物理化学」「無機化学」「分析化学」「有機化学」そして化学実験法の基礎を修得する「化学基礎実験I」。いずれも必修科目です。このように精選された必修科目を履修することにより、化学の学習に何よりも必要な基礎知識の習得をします。
  • 2年次からは化学の専門課程
     講義では、物理化学、無機・分析化学、有機化学の3つの大きな系列を、系統的に学びます(ほとんどが必修科目)。1年次の物理化学系講義の復習と発展を目的とした、「化学演習II」も必修です。さらに、専門分野の化学を学ぶための選択科目も一部始まります。また、「英語化学文献講読」では、現代の主流である英語の化学論文を読みこなす力を身につけます.
     2年前期の「物理学実験」は選択科目ですが、基礎化学科の学生向けに高校で物理を選択していなくても履修可能な内容になっていて、化学に必要な技術も多く盛り込まれています。
     2年後期の「化学基礎実験II」、3年の「合成・解析化学実験」と、化学実験が1年半にわたって必修科目として課せられ、実験の面白さや不思議さを体験するとともに、卒業研究などを遂行するための基礎的技術を身につけることになります。
  • 3年次と4年次向けの選択科目
     必修科目が一部ありますが、専任教員の専門分野に関連する知識を修得するために選択科目を主に履修します。また、各研究室における研究内容を紹介する「現代の化学」の授業も行われます。
     他大学からの教授陣による講義として、夏季・冬季休業の前後に開講される「集中講義」の授業があります。化学の分野は広く、その全てを専任の教員陣が担当しきれないため、放射化学、地球化学などのほか、最新のトピックスも選定して講義が行われています。
  • 4年次は研究室に所属
     各自が希望する専門分野の研究室で、将来、化学やその周辺の科学にたずさわる者になるための、最も充実した貴重な1年間を過ごします。
     「卒業研究」では、一つの研究課題に取り組み、結果を出してそれを考察していく方法を、個別指導しています。基礎化学科には最新鋭の分析機器やさまざまな測定機器が多数設置されていて、ネットワークを通じて研究に有効に利用されています。このような機器の動作原理や操作を学ぶことも大事な学習の一環となっています。
     「卒業演習」では、英語で書かれた論文を説明したり、原書を講読します。これらの経験が“研究報告書の書き方”や“学会での発表”の基礎訓練につながります。この期間は日夜卒業研究に没頭するだけではなく、研究室の一員として教員、先輩や仲間たちとの毎日のつきあい、レクリエーションや旅行などを通じて自分の人間性を鍛え磨く時期でもあります。卒業研究の発表会を終えると、まもなく卒業です。

●学生生活

  • 教員や先輩との交流
     毎年、4月当初には各学年向けの公式のガイダンスを行っています。また、非公式ながら2〜4年次学生がそれぞれ新1年次生と懇談の機会をもうけているので、その中でカリキュラムなどについて先輩からのアドバイスも受けられます。
     1〜3年次の学生に対しては、各教員が分担して「担任教員」となり、定期的に面接を行ったり、さまざまな相談に応じています。また授業カリキュラム、教育実習、就職などについては、それぞれ担当の教員が相談に応じています。4年次で研究室に配属された学生は、指導教員や先輩の大学院生が個別の指導を行っています。
     基礎化学科は伝統的に先輩と後輩の交流が密接なので、教員との面談よりも、学生同士の情報交換が有効に作用しているようです。
     学生生活における精神面での悩みや身体の健康については、本学の保健センターを利用することができます。専門の医師・カウンセラーが常時相談に応じています。
  • 進路指導
     研究室に所属されている学生については、その指導教員が担当しています。また、学科長や就職担当教員も相談にのっています。図書室には会社紹介や求人票などの就職関係資料が揃えられており、就職に関する情報を定期的に流すためのメーリングリストも開設されています。
タイトルとURLをコピーしました