研究概要 of Ishii Laboratory

広い意味で炭素と水素以外の典型元素のことをヘテロ原子と言います。炭素と水素からなる炭化水素にヘテロ原子が官能基として加わることで,アルコールやアミンのような様々な性質をもつ有機化合物が派生しますが,さらにそこに遷移金属元素が加わると,また違った面白い性質が現れます。私たちは,ヘテロ原子のみならず,それと遷移金属元素を組み合わせることで,従来にない性質をもつ物質の合成と,そのような性質をもたらすヘテロ原子と遷移金属元素の相乗効果を解明する研究を行っています。炭素骨格-ヘテロ原子-遷移金属元素の組合せは無限にあり,このような研究は無限の可能性を秘めていると言えます。


①酸素と硫黄をドナー原子とする新規な四座配位子を開発し,これらを有する一連の金属錯体を合成しています。また,これらの錯体はオレフィン類の重合反応における触媒として作用し,対応するポリオレフィンを超高活性かつ立体特異的に生成することを見出しています。
 例えば,ジルコニウム錯体は,1–ヘキセン,4–メチル–1–ペンテンならびにプロピレンの精密重合反応の触媒となり,従来の触媒には見られない広い基質適応性を示しました。最近では,光学活性ポリマーの生成や極性モノマーのイソ特異的重合にも成功しており,新しい高分子材料としてさらなる応用展開が期待できます。

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②ジベンゾバレレンと呼ばれる炭素骨格とヘテロ原子を含む化合物が強い蛍光を発することを見出しました。Eの部分が周期表16族元素のO,S,Se,Teの化合物を合成し,光物性をはじめとする諸物性を実験と理論計算の両面から系統的に比較することで,16族元素の特徴を明らかにしました。また,この系では,置換基R1とR2の電子的性質をチューニングすることで,蛍光を青色から赤色〜近赤外に変化させることができます。さらにEの部分が14族の炭素とケイ素,15族のリンの化合物も合成し,ヘテロ原子の種類により物性がどのように変化するか研究しています。これらのルミネッセンス化合物は機能性電子材料や化学センサーとしての様々な応用も期待されます。

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